北朝鮮地上軍の防勢における戦術

 防勢は、時間の獲得、兵員損失の防止、又は兵員不足の部隊の援護を試みるために、北朝鮮地上軍により使用される。防御地域は、相互支援を与え、全周防御できるように選定される。北朝鮮地上軍のドクトリンは、陣地防御、機動防御、及び後退作戦の3種類の防勢作戦を要求する。

 陣地防御は、重要地形又は重要地域を保持するため、CFCの攻撃を遅延若しくは破砕するために使用される。機動防御は、場所を犠牲にして、時間を稼ぎ、CFC部隊に損失を強い、戦闘力を温存するために使用される。北朝鮮地上軍の後退(又は戦闘離脱)作戦は、事後の作戦計画のための時間を稼ぎ、戦闘力を回復するために使用される。北朝鮮地上軍の防勢作戦の3種類全てにおいて、組織と構成は類似しているが、実施は異なる。

 北朝鮮地上軍の防御計画は、要求される防御の種類とCFC部隊との接触状態に応じて異なる。機械化、砲兵、装甲、AAA、及び対戦車火力支援(自隊・隣接部隊共に)の統合、並びに工兵、偽装、及び欺騙の使用は、北朝鮮地上軍の防勢作戦の重要要素である。しかしながら、北朝鮮地上軍の対戦車防御の計画立案及び実行は、CFCの攻撃に備えるとき、最優先とされる。

 一般に、防勢時、北朝鮮地上軍は、警戒梯隊、主防御梯隊(又は主防御線)、後方地域防御梯隊、及び対戦車支援地域の4つの防御梯隊/地帯、及び地域に防御を組織し、その実行を監督する。距離、正面、及び縦深は、状況に応ずる。それらは、防御を準備する時間、地形、北朝鮮地上軍の防御と攻撃が予想されるCFC部隊の両戦闘力に従い、北朝鮮地上軍防御指揮官により調整される。

 警戒梯隊は、全般前哨、戦闘前哨、及び局地警戒の3地帯から成る。各々は、時間を稼ぎつつ、攻撃CFC部隊を遅滞及び挫折させる目的で組織される。警戒梯隊は、工兵、砲兵、及び装甲部隊により増強される。警戒梯隊の主目的は、以下のものである。
 
bulletCFC部隊の攻撃隊形への早期配置を引き起こす。
bulletCFCの奇襲攻撃を阻止する。
bulletCFCの偵察及び砲兵観測を妨害する。
bulletCFC部隊に主防御梯隊の実際の位置発見を誤認させる。
bullet北朝鮮地上軍の撤退中における隠蔽警戒を提供する。

 全般前哨は、防御前線の約10〜15 km前方に設定され、増強大隊が配備に就く。それは、師団又は軍集団により設定され、十分な時間がない場合、配備されない。その任務は、CFCの前進を遅らせ、早期配備を行わせることにある。

 戦闘前哨は、増強小隊から成り、防御前線の約1から2 km前方に設定される。師団がこれを設定し、連隊はこの前哨を担当する。その任務は、CFCの奇襲攻撃を阻止し、CFCの偵察を混乱させ、主防御梯隊の位置としてCFCを欺騙することにある。

 局地警戒は、少数の北朝鮮地上軍部隊から成り、前方中隊長の権限の下、防御前線の約200から400 m前方に設定される。

 主防御梯隊は、防御火力のほとんどを含む。最強の火力を有する北朝鮮地上軍部隊と対戦車兵器のほとんどが、この梯隊内の任務に配属される。主防御梯隊は、2個小梯隊に組織され、防御地帯が、いかなる方向からのCFCの攻撃も点検できるように設定される。

 主防御梯隊の第1梯隊は、CFCが計画攻撃実施のために移動しているかどうか、もしそうならば、その場所を決定することを担当する。CFC部隊が攻撃のために移動している場合、戦闘警戒支隊又はより小さな部隊は、各々強行偵察又は限定的な強襲攻撃を実施するために派遣される。前線において掩蔽された戦車は、1,000 mで交戦する。CFC部隊が前線に到達し、突破の恐れがある場合、防御部隊は、その側面を強化し、利用できる全ての火力支援により交戦する。CFCが防御地域に進入したとき、戦車と対戦車チームは、攻撃者の機動力を待ち伏せ、撃破し、多大な戦闘損失を与えようと試みる。CFCがこの地点に到達した場合、北朝鮮地上軍の防御指揮官は、恐らくその予備を投入するであろう。

 主防御梯隊の第2梯隊は、主導権を保持し、突破するCFC部隊を駆逐するために、1つ若しくは2つの阻止陣地の保持又は逆襲を担当する。CFCが側面移動を試みた場合、第2梯隊の1個中隊は、その側面の防御陣地を占める。

 後方地域防御梯隊は、通常、8から12 kmの縦深を有する。陣地は、事善に準備される。この梯隊は、主防御梯隊の突破に引き続く前進を阻止し、CFCの前進を遅延させ、防御間の兵站支援を提供するか、又は逆襲を実施するために使用される。地下陣地、砲兵及び後方地域勤務支援は、この地域に位置する。逆襲を実施するか又は増援となる機動部隊は、ここに配置される。北朝鮮地上軍の予備は、いかなる方向においても逆襲が可能となるように配置される。

 北朝鮮地上軍は、対戦車防御を防御の最も重要な構成要素の1つ考えており、対戦車支援地域(ATSA)を設定する。北朝鮮地上軍のドクトリンは、防御正面の100 m毎に2から5門の対戦車砲の使用を要求する。

 機動部隊は、ATSAを設定し、戦車又はIFVが接近できない場所に配置する。ATSAに配属された北朝鮮地上軍部隊は、CFC戦車の潜在的接近経路に沿って、いくつかの間接射撃移動弾幕線と直接射撃対戦車警戒線を設定することを任務とする。対戦車警戒線は、前方警戒地帯、防御前線の近く、及び主防御地帯の縦深に設定される。移動弾幕射撃線は、防御前線の前方300から400 mから始まり、主防御線に平行に設定される。この地点から外側に向かって、補則線が、300から500 mの間隔で設定される。各射撃地区は、地上OPから観測され、CFC戦車が迂回できない地点に位置する。

 対戦車防御においては、北朝鮮地上軍砲兵部隊は、CFC戦車対戦車兵器の有効射程内に前進する前に、大隊規模の一斉対戦車支援射撃の投射を試みる。OPの要求により、数個大隊が、最大射撃速度で重要地域に射撃を集中する。CFCが射撃地域を突破し、戦車の前進が継続する場合、砲兵部隊は、事後の射撃地域に射撃を転移する。移動弾幕射撃間、CFC戦車が対戦車砲陣地の1,000 m以内に前進したときは常に、対戦車砲が直接射撃を行う。

 個々の対戦車砲は又、高速接近経路に沿って、陣地から待ち伏せ射撃も実施する。加えて、対戦車障害が、対戦車砲からの防護を受けられるように配置される。北朝鮮地上軍は又、人工と自然障害の両方を使用する。

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最終更新日:2003/05/21

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